前回の記事「千羽鶴プロジェクト」に引き続き、「本の寄贈」を実施させていただきました。
今回も当協会の会員で理事のS様にその時の様子やお気持ちなどお便りをご投稿頂きましたので、寄贈書と共にご紹介いたします。
(当協会より「※」注釈を加筆させて頂いております。)
拝啓
今回の本の寄贈についての感想を書きます。
折り鶴の献納と本の寄贈にあたり、関連する日は毎回のように広島市は雨でした。私にとって、「雨と傘」は、毎日泣く日々を思い起こさせ、同時にカサンドラ症候群の苦悩と、理解が難しいパートナーとのコミュニケーションや絆ならびに周囲や関係者の支援を強く感じることとなりました。
12月2日の午前は小雪の折でしたが、エソール広島(公益財団法人広島県男女共同参画財団:広島市中区大手町1-2-1おりづるタワー10階)を訪ね、最終的に本の寄贈をお願いした時の天気は、とても温かく、美しい青空が広がっていました。
公益財団法人広島県男女共同参画財団「エソール広島」(以降「エソールさん」と表記)には充実した専門書が揃う情報スペースがあります。私は、各自治体に存在するこのような専門図書や情報スペースの活用をお勧めします。というのも、私は今まで利用をしたことがなく、後悔をしたからです。エソールさんには、悩みがある時に情報を得て、活動の支援となる素晴らしい場所があります。エソールさんのHPによりますと、“「エソール」は,フランス語で「飛躍・発展」を意味しています。”
エソール広島様には、このたび書籍の寄贈を快くお受け入れいただき、深く感謝申し上げます。 この書籍がともしびとなることを確信しております。心よりお礼申し上げます。
※「エソール広島」情報スペースの図書の貸出の詳細については、左記リンクよりご確認ください。
『カサンドラ症候群〜身近な人がアスペルガーだったら』岡田尊司著(2018年10月10日初版発行)。10月10日は世界メンタルヘルスデー(World Mental Health Day)です。この日が定められた背景には、1948年に創設された世界精神保健連盟(World Federation for Mental Health: WFMH)の草の根活動があり、1992年から10月10日が世界メンタルヘルスデーとして定められました。その後、世界保健機構(World Health Organization: WHO)が協賛し、世界中で毎年この活動が行われるようになりました。日本では、国や地方自治体、民間団体などが参加しており、日本の厚生労働省のウェブサイト「世界のメンタルヘルスデーとは」によると、「メンタルヘルスの問題に関する世間の意識や関心を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的として定められた国際デーです」と説明されています。
書籍『カサンドラ症候群』(岡田 尊司著)を初めて手にしたとき、私は書籍と一体となったデザインの帯に記された言葉に注目しました。帯にはこう記されています。黒い紙に白字の縦書きでその文字のサイズはタイトルより少し大きく書かれています。” このつらさを誰にもわかってもらえない。専門医が最先端の研究から解決策を示す。「カサンドラ症候群」とは、ある種の障害や特性により心が通わない夫(または妻)を持つパートナーに生じる心身の不調。” 岡田氏は書籍の中の”その意味や診断基準”(岡田,2018, pp.29–30)において、専門的かつ世界的視点から研究に触れています。“はじめに”から始まり、末巻の”カサンドラチェックリスト“(岡田, 2018, pp.254-246)と全8章にわたって精神科医としての立場から、カサンドラ症候群に関する複雑でデリケートな問題を、実際の臨床例を通じて詳しく解説しており、深刻な問題を提起しています。
※当協会ブログにて2018年に『カサンドラ症候群』岡田尊司著をご紹介させていただいております。(写真は当時(初版)のものにつき、一部モザイク処理を施しています。)
わたしは、2017年の創設当初の一般社団法人カサンドラ支援協会とこの一冊に出会う前、孤独で真っ暗なトンネルを歩いていました。2010年ごろからカサンドラ症候群において悩むようになり、パートナーとのコミュニケーションにおいて、さまざまな場所に相談に行き何かしらの情報を知ろうとし、住環境を含め、あらゆる試行錯誤を重ねましたがうまくいきませんでした。
私にとってこの書籍は難しい内容でしたが、何度も読み返しながらカサンドラ症候群に悩む自分自身や、パートナー、さらには家族や親族との関係について理解しようと努力しました。それでも、カサンドラ症候群による二次被害として、生命の危機を伴う心の苦しみが繰り返し訪れ続け、迷いながらも覚悟を決め、一般社団法人カサンドラ支援協会に賛同し、確信し、入会し所属いたしました。
“この世にたった一人のあなた”
が、どのようにご自身の苦しみやご自身を理解し、
また大切なパートナーを、そしてご自身をどのように
愛をもって考えることができるか?
私はこの問題に悩み始めてから、この書籍に出会うまでに10年、それよりもっと時間がかかりました。ですので今、真に苦しみの中にある方々にできるだけ早い段階でこの一冊に出会っていただくことを願っています。
私は一冊の本が命を救うことがあると、ある時から信じるようになりました。小さくともコツコツと積み上げる歩みを通じて、ともしびと平安を心より祈り願っています。
参考文献:岡田 尊司,(2018), カサンドラ症候群, 角川新書.
敬具
素敵なご投稿、ありがとございました。これまでの苦悩の日々から、当協会や岡田尊司著の本と出会えたことがきっかけで見事カサンドラ症候群からご回復され、社会支援活動の第一歩を歩み始めたS様。カサンドラ症候群にお悩みの方々に勇気を与える内容ですね。
また、当協会推薦図書をご配架いただきましたエソール広島理事長殿はじめ、貴団の温かなご対応に心より御礼申し上げます。
皆様も「千羽鶴プロジェクト」に参加してみませんか?
また当協会では個人・団体・企業問わず、ご支援も随時受け付けております。
詳しくは「入会のご案内」の賛助会員をご覧ください。